電気代の節約というと、こまめに消す、待機電力を減らす、といった話になりがちです。それも無駄ではありませんが、効果の順番が逆になっていることが多くあります。

電気代は、大きく3つの層でできています。

  1. 基本料金(契約アンペアで決まる。使わなくてもかかる)
  2. 料金プラン(同じ使用量でも、単価の設計で金額が変わる)
  3. 使用量(実際に使った分)

節約の効きやすさは、上から順です。3だけをがんばっても、1と2が合っていなければ、削れる幅は限られます。この記事では、上から順に見ていきます。

第1段階|契約アンペアを確認する

多くの家庭の電気料金は、基本料金+使った分という構成です。基本料金は契約アンペア(A)で決まり、一度も電気を使わない月でも発生します。

契約アンペアは、分電盤のブレーカーか、検針票・マイページで確認できます。

アンペアは何で決まるか

アンペアは「同時にどれだけ使えるか」の上限です。1か月の使用量ではありません。

つまり、家族が多くても、同時に大きな家電を使わないなら、大きな契約は要りません。逆に一人暮らしでも、エアコンとドライヤーと電子レンジを同時に使えば落ちます。

判断の目安は、いちばん電気を使う瞬間を思い浮かべることです。

こうした場面で足りるかどうかで決めます。

下げるときの注意

契約アンペアの変更は、多くの場合は無料ですが、一度変更すると一定期間(1年など)は戻せないという条件がついていることがあります。事前に確認してください。

また、オール電化やIHクッキングヒーターを使っている家庭は、アンペアを下げると生活に支障が出ます。無理に下げる項目ではありません。

なお、契約アンペアという考え方がない料金体系の地域・プランもあります。その場合はこの段階を飛ばして構いません。

第2段階|料金プランを使い方に合わせる

電力の小売は自由化されており、契約先とプランを選べます。ここで見るべきは、自分の使い方に合っているかです。安いプランを探すのではありません。

時間帯別プランが向く家庭・向かない家庭

夜間の単価が安く、日中が高い、という設計のプランがあります。

向いている

向いていない

このプランは、日中の単価が通常より高く設定されていることが多くあります。日中に在宅していると、かえって高くなります。在宅勤務が増えた家庭で、以前のプランのままになっていないか確認してください。

比較するときの注意

料金の比較は、必ず現時点の条件で行ってください。

電気料金には、燃料費の変動を反映する調整や、時期によって設けられる各種の制度が影響します。数年前に書かれた比較記事の結論が、今も同じとは限りません。

比較する際は、

1か月だけで比べると、季節の偏りで判断を誤ります。

切り替えの手間

電力会社の切り替えは、申し込みだけで済むことがほとんどです。工事や立ち会いは通常不要で、停電もありません。スマートメーターが未設置の場合は交換が入りますが、費用は基本的にかかりません。

ただし、解約時に違約金がかかるプランもあります。契約内容を確認してから進めてください。

第3段階|使い方を変える

ここまで済ませてから、使用量の話に入ります。効果の大きい順に並べます。

冷暖房

家庭の電気使用量で大きな割合を占めるのが冷暖房です。ここが最も効きます。

「こまめに消す」が逆効果になり得るのは、この項目の直感に反する点です。数十分の外出なら、切らない方が安いことがあります。

冷蔵庫

24時間動き続けるため、効率の差がそのまま積み上がります。

なお、冷凍室は逆で、詰まっている方が効率が良いとされています。冷蔵室と冷凍室で扱いが違う点に注意してください。

給湯

電気で湯を沸かしている家庭では、給湯の比重が大きくなります。

買い替えを検討する場合

10年以上前の冷蔵庫やエアコンは、現行機種と消費電力が大きく違うことがあります。

ただし、買い替えは購入費用を電気代の差で回収できるかで判断してください。年間の電気代の差が数千円で、買い替えに10万円かかるなら、回収には長い年数が必要です。

壊れて買い替えるタイミングで省エネ性能を見る、という順番が現実的です。節約のためだけに、動いているものを捨てる必要はありません。

やる順番のまとめ

  1. 契約アンペアを確認する(30分・使わなくてもかかる部分を削る)
  2. 料金プランを実際の使用量で比較する(1〜2時間・使い方を変えずに単価を下げる)
  3. 冷暖房と冷蔵庫の使い方を整える(継続・いちばん大きい用途から)

1と2は一度やれば効き続けます。3は続ける必要がありますが、上の2つを済ませてからの方が、努力に見合う成果が出ます。

こまめに消すことから始めると、いちばん手間のかかる方法で、いちばん小さな効果を取りに行くことになります。順番を変えるだけで、同じ努力の成果が変わります。