家計簿が続かない。この悩みは非常に多く、そしてほとんどの場合、本人のせいではありません。
続かない理由ははっきりしています。記録する量が多すぎるからです。
レシートを取っておき、費目に分け、金額を入力する。これを毎日、何品目もやる。仕事や家事の合間にこの作業を続けられる人は、そう多くありません。数日でたまり、たまると手をつけるのが億劫になり、そのまま止まります。
そして問題は、その努力の大半が家計の改善につながっていないことです。
なぜ全部記録しても効果が薄いのか
家計簿の目的は、記録することではなく、支出を減らすことです。
ところが、細かく記録して分かるのは主に変動費です。今月の食費がいくらだったか、日用品にいくら使ったか。それが分かったところで、翌月に減らすには毎日の我慢が必要になります。
一方、家計に最も効くのは固定費です。そして固定費は、記録しなくても金額が分かります。契約書とマイページを見れば載っています。毎日レシートを集める必要はありません。
つまり、
- 記録が大変な項目 → 効果が出にくい(変動費)
- 記録が簡単な項目 → 効果が大きい(固定費)
という関係になっています。多くの人は、大変な方を毎日やって、簡単で効果の大きい方を放置しています。
固定費だけ管理する方法
やることは2つだけです。
- 固定費の一覧をつくる(最初の1回、1〜2時間)
- 月1回、変動費の総額を記録する(毎月5分)
以上です。レシートの保存も、費目の分類も、日々の入力も要りません。
ステップ1|固定費の一覧をつくる
毎月または毎年、決まって出ていくものを一覧にします。作るのは一度きりです。
| 項目 | 金額 | 支払い月 | 支払い方法 | 最終確認日 ||---|---|---|---|---|| 家賃 | | 毎月 | 口座振替 | || 電気 | | 毎月 | カード | || ガス・水道 | | 毎月/隔月 | | || 通信費(携帯) | | 毎月 | | || 通信費(自宅回線) | | 毎月 | | || 保険 | | 毎月/年 | | || サブスク各種 | | 毎月/年 | | || 車関係(保険・駐車場) | | 毎月/年 | | || 税金(自動車税など) | | 年 | | |
金額は、口座の明細とカードの明細から拾います。12か月分をさかのぼってください。年に一度しか出ない支出は、それだけ見ないと出てきません。
車検、自動車税、火災保険、NHK受信料、町内会費、年払いのサブスク。こうした年単位の支出を月割りにすると、実際の毎月の負担が見えます。
この一覧を作るだけで、たいてい何かが見つかります。使っていないサブスク、重複した保険、必要のないオプション。作業の効果の大半は、この最初の1回で出ます。
ステップ2|月1回、5分の点検
毎月やることは、次の3つだけです。
- 生活費の口座の月末残高を記録する
- カードの当月請求額を記録する
- 固定費の一覧と照らして、知らない引き落としがないか確認する
記録するのは合計額だけです。内訳は追いません。
これで何が分かるかというと、総額が増えているかどうかです。家計管理に必要な情報の大半は、実はこれで足ります。
食費の内訳が分からなくても、総額が去年と変わらなければ問題ありません。総額が増えていれば、そのときに初めて内訳を調べればよいのです。
変動費は「予算だけ決める」
変動費を管理したい場合も、記録ではなく上限を決める方法にします。
生活費用の口座やカードとは別に、日々の買い物に使う手段を一つ決め、そこに月の予算を入れておきます。プリペイド式の決済手段や、専用の口座を使うと分かりやすくなります。
残高が減っていくのが見えるので、記録しなくても使いすぎが分かります。足りなくなれば、そこで調整が入ります。
この方法の利点は、記録が不要になることです。予算内で何を買ったかを把握する必要がありません。
この方法で足りない場合
次のような状況では、一時的に詳しく記録する価値があります。
- 収入に対して支出が明らかに多く、どこが原因か見当がつかない
- 総額が毎月増えていて、理由が分からない
- 家族間で支出の認識がずれている
この場合も、期間を区切ってください。1か月だけ全部記録する、と決めて実施し、原因が分かったら通常の運用に戻します。永久に続ける前提にすると、また止まります。
家計簿アプリを使う場合
口座やカードと連携して自動で取り込むタイプのアプリを使えば、記録の手間はかなり減ります。
ただし注意点があります。
- 分類の修正に時間を取られない。自動分類が多少ずれていても、総額が合っていれば問題ありません。細かく直し始めると、結局は手作業に戻ります
- 現金払いは記録されない。現金の比率が高い人は、アプリだけでは把握できません。決済手段を集約すると解決します
- 連携先を増やしすぎない。使っていない口座まで繋ぐと、画面が複雑になって見なくなります
アプリを入れること自体が目的にならないようにしてください。目的は、支出が減ることです。
まとめ
- 家計簿が続かないのは、記録する量が多すぎるからです
- 家計に効くのは固定費で、固定費は毎日記録しなくても分かります
- 固定費の一覧を一度つくり、月1回5分の点検をする。まずはこれで十分です
- 変動費は記録せず、予算を先に分けて上限を決める方が続きます
- 詳しい記録が必要になったら、期間を区切って実施します
家計管理の目的は、きれいな記録を残すことではありません。支出を減らすことです。効果の出る作業だけを残して、残りはやめてかまいません。